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水と生命

生命とは何か? 48 人と水の関わり

第六章 『人と水の関わり』
上記で述べてきたように、水には大いなる宇宙の不思議とパワーが秘められている。西洋東洋を問わず、古代から人と水は、深い関わりをもっている。古代文明は、河川とともに発展し、河川と共に生きてきた。水は生命の源であり、生命を生かし育てる。しかし同時に、生命を奪うものとしても畏怖されてきた。2011年に日本で起こった地震による津波でも、多くの生命が奪われていった。水俣病やイタイタ病などの公害も水を介してのものである。
今の私たちは、水や生命に対する思いが希薄になっていると思う。科学を絶対視し、人間の利害だけを追求することに疑問をもたない自分たちになっていないだろうか。地震で起こった原発事故でも、放射性物質が海にたれ流されている。水を汚すことは、自分たちだけでなく、他の生命をも危険にさらすことになることを、しっかり考えなくてはならない。
自然とともにあった古代人は、自然現象をみて水に神をみいだし、水を大切にして信仰してきた。人々の水への思いを、インド・中国・日本の視点から明かにし、水と生命を考察していきたい。密教でも水は、『大日経』・『秘蔵』などに数多く用いられ、重要な意味合いが含まれている。今の私たち(現代人)が忘れてきたもの、便利さと引き換えにしてきたものを、先人たちの思いを水と共にみていきたい。

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