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水と生命

生命とは何か? 47 化学や分子生物学からみた生命と水のまとめ

第三節 『化学や分子生物学からみた生命と水のまとめ』
生命の最小単位は細胞である。現代での生命の起源とは、生命という属性をもった始原の細胞が形成せれた時点をもっていう。生命が存在していない時代の地球上で、生命形成につながる物質(有機化合物)の自然合成が進んでいった。ごく簡単なガス物質(水素・メタン・アンモニア・水蒸気など)がさまざまなエネルギーをえて化学反応を起こし、次第に複雑な高分子が生成された。そして、多種類の高分子が集合体をつくった中から生命をもつ始原細胞が生まれた。この過程を化学進化と呼んでいる。化学進化はすべて水の存在で進んでいった。だから始原細胞は、原始の海の中で生まれたと考えられている。
水分子の電気的特性は、生命にかかわる水すべての役割の基礎となっている。生命に意味をもつ液体としての水において、水分子はお互いに静電的に結び合い(水素結合)、網のような集団構造をつくっている。水という液体は、さまざまなものをよく溶かす。これほどの溶解力のある液は他にないといわれる。その理由は、水分子が静電的に溶質と結びつくからである。生命の単位としての細胞の生命活動は、すべての溶解力に依存している。細胞における多種多様な分子の動きは、水を媒質として行われている。したがって、細胞が水分を失うと、細胞は生活活動を停止する。
地球上のすべての生物は、植物の行う光合成やある種の細菌類が行う化学合成によって養われている。そこで合成されるブドウ糖は、生体をつくるあらゆる物質の素材となっている。たとえば、ブドウ糖が呼吸代謝を経て分解され有機酸を生成すると、これがアンモニアと反応してアミノ酸を生じ、タンパク質が合成せれていく。ブドウ糖とその代謝産物は、すべての生命分子の骨格をつくっている。そこで、光合成や化学合成においてブドウ糖を合成する原料は、水と二酸化炭素である。
「すべての生物体は水からつくられる」といっても過言ではない。分子生物学者中村運も言っている。

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