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水と生命

生命とは何か? 37 宇宙と太陽系の中の地球2

1994年1月アメリカのNASA(航空宇宙局)において国際会議が開かれ、天文学・化学・生物学の研究者が集った会議での結論は、「生命体の形成には液体としての水が必要である」と言われている。少なくとも太陽系において生命体が発生し、生存できる条件を備えた星は、地球だけということになる。地球生物は地球以外にすむところはない。太陽系の宇宙から見ると、地球は特異なものであり、生物界そのものが太陽系の宇宙においては特異な存在なのである。生命が生まれる可能性のある星の条件には、三つの条件が同時に満たされる必要があるとされる。
A) 表面温度が適当であること:
地球の双子児とも言われるほどに大きさがにている第二惑星の金星は、30%太陽に近いため、表面温度は470℃に達しおり、炭素ガスが95%以上で生命体は住めない。
地球が現在の位置より、5%だけ太陽に近かったならば、生命の存在しない灼熱の世界になる。第四惑星の火星は、地球の1・5倍太陽より遠い位置にある。観測された地表の最低気温は零下139℃である。第三惑星の地球は、地表温度が±数十度の範囲にあり生命が住むことが可能な環境にある。
B) 液体としての水が存在すること:
水は、1気圧では100℃で気体(水蒸気)、零度で個体(氷)となり、この間の温度では液体の状態となる。(4℃で密度が最大となり、海の表面がたとえ零下であっても、海底には、温かい4℃の水の層がある)
水星や金星の灼熱の惑星では、大気中の水蒸気でさえも宇宙に霧散してしまい、零下の状態の火星などでは、氷の状態でしかない。
地球では、水蒸気として大気に、液体として海や湖・地下水に、氷として冬期や極地にと三つの状態がみられる唯一の星である。地球の表面の72%が海や湖で占められ、地球というよりも、水球と呼んだ方がふさわしい。
水は、熱を含みやすく放出しにくい顕著な性質をもっている。巨大な湯たんぽ(海)を持つ地球は、熱しにくく冷めにくい。地球が他の惑星に比べて、極めて温厚な気候をもっている理由はここにある。
C) 利用できるエネルギー源があること:
今わかっていることでは、40億年前、生命が発生する以前、地球上ではタンパク質をはじめとして、さまざまな有機物質(炭素化合物)が自然合成されていた。生命の関与なしに複雑な有機物質が自然合成されることを「化学進化」という。原始地球でなぜ化学進化が進んだかは、水素やメタン、二酸化炭素、アンモニア、水蒸気などが化学反応を起こす素材があったことと、外からのエネルギー供給があったためである。生命が生まれる以前、原始の大気や海の中では、化学進化が少なくとも6億年間、大規模に進んだと考えられる。化学進化を進めた最大のエネルギー源は、太陽からの強力な紫外線であり、火山熱、空中放電(稲妻など)、放射能、宇宙線などと考えられている。生命は、太陽の光によって誕生し、太陽の光によって養われ生存している。この地球の恵まれた環境は、太陽からの適当な距離に位置していることで、水が液体で存在し植物が光合成により、栄養素をつくり上げている環境に依存している。

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