インフォメーション

水と生命

生命とは何か? 28 現代科学からみた生命

第三章 『現代科学からみた生命』
第三・四・五章は、科学的分野であり、明らかになっているものであるため、基本的に註は除いていく。現在の科学で言われていることを簡単に、自分なりに咀嚼しまとめながら、生命や水を明らかににしていく。

第一節 『化学や分子生物学からみた生命』
生物学では、地球生命は、炭素生命と呼ばれるように、生命系は炭素なしでは成立しない。生物の示す固有の現象を生命現象と呼ぶ。生命とは、その根元にあるものとの思想があり、あまり生命とは何かを論じていない。現在の生物学では概して具体的な生物と生命現象を論じる。生命現象を起こさせる最少単位が細胞である。細胞を生命の最小の単位と見なし、それから構成されるものに生命を認めるというのが一般的である。生命が全く存在しなかった原始の地球では、生命の形成へと導いた有機化合物はどのように自然合成されたか。有機物はどのように集合して、最初の生命すなわち始原細胞をつくったかが論じられている。
細胞の71%はタンパク質で占められており、生命系におけるタンパク質の重要性は疑いがない。タンパク質とは、英語ではプロティン(protein)といい、「生命をつくる第一人者」を意味する。最初の生命体である始原細胞は、タンパク質などはじめ、さまざまな有機体が集合して形づくられ、生命という特殊な性質をもつようになったものであると考えられている。生命をもつようになるまで、専門的には化学進化と呼ばれる。45億年前に地球が創成し、40億年前に生命が誕生するまで6億年、化学進化がおおいに進んだと想像される。化学進化を進行させた最大のエネルギーは、太陽からの強力な紫外線であった。
始原細胞が生命をもつ状態とは、始原細胞が以下の三つの条件を備えた物質系に達したときとである。

A) 自己を自身で維持することができる。

B) 自身で増殖することができる。

C) 時とともに進化していく。

現在、地球上には、多種の生物が住んでいる。これらの生物はいずれも共通に上の3条件を満たしている。例外なく、生物は細胞から成り、そこで生命が営まれている。現存する生物でもっとも原始的(必要最小限の装置しかたないもの)は、「マイコプラズマ」と呼ばれる一群の生物である。単細胞性で動物や植物に寄生しているものが多い。
生命は海の中で生まれたと考えられている。その根拠は以下の内容である。

A) 化学進化における数多くの反応に水分子が出入りする。

B) 現存の生物細胞に含まれるさまざまな無機質の種類と量は、海水のものと一致する。

C) 生きた細胞には、通常85~90%の水分が含まれる。

D) 化学進化は水という液体の媒質の中で進んだはずである。

始原細胞は細胞膜で包まれた水袋で、これにタンパク質などの有機物や海の無機物が融け込んで、生命装置ができあがったものといえる。細胞内部は、水になじみやすいタンパク質などの高分子が沈殿しないで水中に分散している状態にある。この状態で細胞は生命を保つことができているが、細胞から水分を取り除くと細胞は死ぬ。
生細胞の代謝には、水分子が関与している。タンパク質・糖質・脂質・DNA・ATPのような分子の合成・分解にも必ず水分子の出入りが起きている。また、呼吸代謝においても、エネルギーを生産する原資(ブドウ糖C6H12O6)であり、水を作り出す。
C6H12O6+6O2→6CO2+6H2O
植物の光合成も、水に由来し酸素合成している。水の惑星地球における生命は、水の存在があるからこそ成り立っている。生命は、水に由来し水に依存している。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ページトップへ