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水と生命

生命とは何か? 5

南イタリアのエレア学派について

エレア学派は南イタリア のルカニア のギリシア植民地エレアにおける、前ソクラテス期の哲学 の学派である。パルメニデス によって紀元前5世紀 の初期に創立された学派で、この学派に属するのは、ゼノン 、メリッソス、クセノパネス がいる。
クセノパネスは、紀元前6世紀 の半ばに初期ギリシアの神話への最初の攻撃を行った。体系的哲学者というよりは詩人であり、詩を作り公衆に対して朗唱した。コロフォンの建設やエレアへの植民を主題とした2000行に及ぶ詩を書いたという。紀元前8世紀の詩人ホメロス や紀元前7世紀の詩人ヘシオドス など、神々について語っていることを非難した。
パルメニデス(紀元前500年 ~紀元前475年 頃)は、ギリシア神話や初期の自然哲学の感覚的な経験の認識論的な妥当性を拒絶した。その代わりに、論理的な明快さと必然性を、真実性の基準とみなした。感覚で捉えられる世界は生成変化を続けるが、そもそも「変化」とは在るものが無いものになることであり、無いものが在るものになることである。理性で考えれば「無」から「有」が生じたり、「有」が「無」になるのは矛盾である。感覚よりも理性に信を置いて真に在るものは不変だと考えた。このことから感覚より理性を信じる合理主義 の祖であると考えられている。この思想の精神は、形而上学 的な方向で発展した。プラトン の形而上学へとつながっていく。パルメニデスは自分の議論の核心は、
「なんであれ思惟しえないものは存在しえない」と何度も述べている。「無から何も生じえないのであり、必要な変化がなされても何ものかが無に帰して終わることもありえない」「空虚ではありえない。それは充たされていなければならない。空虚や無は存在しえないことが明白である。では、いったい物体はどうしてこの完全に詰まったすきまのないものの中を通って動くことができるのであるか。」(11)
これは、パルメニデスのパラドックスであり、現在最新の量子論の『シュレーディンガーの猫』のパラドックスと同じ傾向がある。2500年前と現在も同じような質の疑問の中から、万物の仕組みや根源をみつけようとしている。
初期から中期の古代ギリシアの中に、西洋の主な生命観がすべて含まれている。最後に述べたエリア学派のいう、思考によってのみ、真実に到達できるという考えは、仏教にも似ているように感じる。エリア学派は、いままでの曖昧な感覚による虚偽の見かけを、存在についての知識にて証明しようとする。このような形而上学的考え方は、これまでとは、全く違った価値観を最終的に生んでいく要因となっていく。西洋は、神の世界→自然世界→形而上学・二元論・機械論へ発展していく。思考により、科学・技術を発展させ、目に見えるものを造りだし、近代化していく。

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