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水と生命生命とは何か? 23 物のあはれをしる
① 情について
『「閑吟集かんぎんしゅう』(室町時代末期)
ただ人は情あれ 朝顔の花の上なる 露の世に
朝顔の花の上の露のようにはかないこの世において、「ただ人は情あれ」というのである。ただそれだけが、この世に生きるよりどころであるという。(40)
② 物のあはれをしる
国学者である本居宣長(1730~1801年)は、「物のあはれ」論を説く。また「真心=うまれつきたるままの心」を説いた。
「物のあはれをしる」ということは、世界の物や事が内包する「あはれ」性を感じとる心の動き。『紫むらさき文ふみ要領ようりょう』において、客体的事物の「あはれ」性ではなく、さらに、他人が物に感じて「あはれ」を慨嘆しているその他人の「あはれ」な心情をあわれと受けとめることを「物のあはれをしる」こととして強調している。他人のあわれとする情に従って生きることを「心ある」こととした。さらに、人のあわれとする情の結晶ともいうべき、世の人情、世間の風儀人情に従って生きることが、「物のあはれをしる」ことであり、「心ある」ことであった。(41)