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水と生命生命とは何か? 12 インドでの生命観
『ウパニシャッド』における最も重要なのは、人間自身である。自己とは何か、自己とは身体であり、身体の有する欠くべからざる力および身体のもろもろの機能である。『ウパニシャッド』において論じられているのは、人間自身、つまり、〝自己″がインド思想の中心的な関心である。(26)
バラモンの哲学書といわれている『ウパニシャッド』から、仏教的な思考の背景をみることができる。あくまでも自己探求である。湯田豊氏によれば、梵我一如という定説は『ウパニシャッド』には出てこないとするが、梵我一如の捉え方だと考える。
インドでは、西洋の古代ギリシアもそうだが、紀元前から今では哲学といわれるものが、盛んである。自己探求から生命・世界の探求へとつながり、そのためか数字の「0」を発見したりする。インド人は、細かく細かく創造力をもって、世界を捉える自由な気質がある。風土もたらす気質なの定かでないが、理解できないものを言葉で理解しようとし、説明し論じる気質がある。これらは、西洋・中国も同じような気質があるが、その方向性がかなり違ってくる。西洋は細かく細かく細分化して、現実に利用できる科学を発展させていく。インド・中国は、答えを世界に求め、この世の理を求め探究していこうとする。インド人は、より自己自身へと発展させていく傾向があると考える。瑜伽、梵我一如、輪廻、解脱の思想などが発展していく。
インド人は、一切のものの根源をあくまでも自己自身に求める。自己探求をし、梵我一如の考えとなり、マクロとミクロの世界を一体視する。人間が生きる道を解脱に求めようとする特徴があると考える。